同じ「辞めたい」でも理由がまるで違う。転職理由の年代別ランキングが映す日本の構造変化

同じ「辞めたい」でも理由がまるで違う。転職理由の年代別ランキングが映す日本の構造変化

転職活動2026年4月22日14分で読めます
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「転職したい理由って何ですか?」🤔

この質問、実は年代によって答えの傾向が大きく異なるんです。

dodaが2025年版として発表した「転職理由ランキング」(2024年7月〜2025年6月に転職した正社員978名対象)を見ると、転職理由の1位は5年連続で「給与が低い・昇給が見込めない」(36.6%)でした。

ここまでは「まあそうだよね」という感じ。

でも年代別に分解すると、景色がガラッと変わります。

  • 20代の1位:「労働時間に不満」(44.6%)← 唯一、給与以外が1位

  • 30代の1位:「給与が低い」(36.9%)

  • 40代の1位:「給与が低い」(39.6%)

  • 50代の1位:「給与が低い」(31.9%)

20代だけが「お金」じゃなく「時間」を理由に辞めている。

さらに深掘りすると、40代では「社内の雰囲気が悪い」(32.1%)と「尊敬できる人がいない」(28.4%)がどちらも前回から10ポイント以上急上昇。50代では「倒産/リストラ/契約期間の満了」(20.3%)が圏外からランクインしています。

なぜ世代によってこんなに違うのか?今回は、データの裏にある構造的な理由まで深掘りします💡

20代が辞める理由は「お金」じゃなく「時間」📊

まず一番インパクトがあるのが、20代の転職理由1位です。

30代〜50代はすべて「給与が低い」が1位なのに、20代だけが「労働時間に不満(残業が多い/休日出勤がある)」(44.6%)で1位。しかも44.6%という圧倒的な数字です。

リクルートエージェントの調査でも、20代の転職理由1位は「労働時間・環境が不満だった」(26.6%)。調査元が違っても同じ傾向が出ています。

なぜ20代はお金より時間を重視するのか?

理由は3つ

1つ目は、初任給の改善が進んでいること。

2024年の春闘で賃上げ率が33年ぶりに5%を超え、初任給を引き上げる企業が相次ぎました。大手では初任給30万円超えも珍しくなくなっています。つまり20代は「給与に対する不満がそもそも相対的に低い」。お金がある程度満たされているからこそ、次の不満が「時間」に向かうんです。

2つ目は、コロナ世代であること。

今の20代は学生時代や社会人生活のスタートがコロナ禍と重なった世代です。リモートワークの導入、業務プロセスの見直し、残業抑制。「長時間労働をしなくても仕事は回る」という経験を、キャリアの初期に持っています。だから「残業が当たり前」の環境に入ると、強烈な違和感を感じる。

3つ目は、「タイパ(タイムパフォーマンス)」世代であること。

Z世代はコスパだけでなくタイパを重視する世代として知られています。「限られた時間で最大の成果を出す」という価値観が仕事にも適用されていて、「長時間いること=頑張っている」という昭和的な評価軸には本能的に違和感を覚えます。

dodaの2025年版では「個人の成果で評価されない」が総合3位に急浮上(前回18位→3位、+11.9pt)していますが、20代ではこれが2位にランクイン。

つまり「時間」と「正当な評価」がセットで不満になっている。
長く働いても評価されないし、成果を出しても評価されないなら、辞めるのは合理的な判断と言えます 🧭

30代が辞める理由は「お金」。だけど裏には「ライフステージの変化」がある 💰

30代の転職理由1位は「給与が低い」(36.9%)。ここは全世代共通のテーマです。

ただし30代には「お金の不満」が特に切実になる構造的な理由があります。

  • 結婚・出産・住宅購入などライフイベントが集中する年代

  • 共働き世帯が増えたことで「パートナーの収入と合わせてもキツい」という感覚が顕在化

  • 物価高騰(食費、家賃、教育費)の影響を最もダイレクトに受ける

マイナビの転職動向調査2026年版でも、30代の転職理由には「給与が低かった」に加えて「会社の事業内容に不満があった」が他の世代より目立っています。
30代は「今の給料が不満」であると同時に、「この会社にいて将来上がるのか?」という長期的な視点でも会社を見ている世代です。

注目すべきは、30代は転職後の年収増加額が全世代で最も大きいこと。マイナビの調査では+32.4万円。

つまり30代は「辞めるリスク」と「辞めないリスク」を天秤にかけたとき、「辞めたほうが得」になりやすい世代。市場価値が高い今のうちに動こう、という判断をしている人が多いと読み取れます。

dodaの調査では30代の2位に「労働時間に不満」(26.2%)が前回8位から急浮上しているのも見逃せません。
20代ほど極端ではないものの、30代にもワークライフバランス重視の波が確実に来ています。背景には共働き世帯の増加があり、「夫婦どちらかだけが残業を引き受ける」という構図が成り立たなくなっていることが影響しています 📈

40代が辞める理由は「お金」+「職場の人間関係」。世代間摩擦が見える 😰

40代の転職理由1位は「給与が低い」(39.6%)。ここまでは他の世代と同じ。

しかし40代で特徴的なのは、2位「社内の雰囲気が悪い」(32.1%)と3位「尊敬できる人がいない」(28.4%)がどちらも前回から10ポイント以上急上昇していること。

リクルートエージェントの調査でも、40代の転職理由には「会社の将来に不安を感じた」(30.6%)、「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった」(29.2%)が上位に入っています。

なぜ40代でこれほど「雰囲気」「尊敬」の不満が噴出しているのか?

ここに少子高齢化の影響が見えてきます。

40代は企業の中間管理職を担う世代ですが、今の40代が直面しているのは「上からも下からも板挟み」の状態です。

上からの圧力は、黒字リストラの対象になりうるプレッシャー。東京商工リサーチの調査では2025年の早期退職募集が1万7,875人で、募集企業の約7割が黒字。40代は「会社の業績が良くても安心できない」という不安を抱えています。

下からの圧力は、価値観が異なる若手世代とのコミュニケーション。ホワイトハラスメントの問題でも触れましたが、「厳しく育てる」が通用しなくなった時代に、管理職としてのやり方を根本から変えることを求められている。

さらに、マイナビの調査では40代の転職理由1位が「仕事内容に不満があった」という結果も出ています。20年近く同じ会社にいると、仕事がルーティン化しやすい。でも40代からの異動や新しい挑戦は社内では機会が限られる。

「雰囲気が悪い」「尊敬できる人がいない」という言葉の裏には、「この組織にいても自分の居場所がなくなっていく」という危機感が隠れているんです 💦

50代が辞める理由は「リストラ」。自分の意思じゃない退職が増えている 🔍

50代の転職理由1位は「給与が低い」(31.9%)で他の世代と同じですが、50代にしかない特異な傾向があります。

6位に「倒産/リストラ/契約期間の満了」(20.3%)が前回の10位圏外から突然ランクインしたこと。
しかも、転職の一番の理由(単一回答)ではこの項目が1位になっています。

つまり、50代の5人に1人は「自分の意思ではなく、会社都合で退職している」。

リクルートエージェントの調査でも、50代の転職理由1位は「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった」(34.5%)。経営判断への不満が他の世代より圧倒的に高い。

この背景にあるのは、

  • 黒字リストラの増加(パナソニックHD約1万2,000人、三菱電機約4,700人など)

  • 事業構造の転換で「不要」とされる部署ごとの人員整理

  • 役職定年制度による年収ダウンと、それに伴うモチベーション低下

50代の転職後の年収変化を見ると、マイナビの調査では唯一のマイナス(-4.5万円)。
ただしこれは平均値で、スキルを正しく言語化して市場に出せている人は年収を維持・向上させています。
差を生んでいるのは年齢ではなく、「自分の経験を社外に伝える準備ができていたかどうか」です。

50代は他の世代と違い、「辞めたい」ではなく「辞めざるを得ない」状況に追い込まれるリスクが最も高い世代。
だからこそ、「いつでも動ける準備」の重要性が際立ちます 📝

世代間の「違い」はどこから生まれるのか?3つの構造要因 🧭

ここまで見てきた世代間の違い、単なる「若者と年配者の価値観の差」で片付けてはいけません。

この違いを生んでいる構造的な要因3つ

1つ目は、少子高齢化による「売り手市場の固定化」。

労働人口が減り続ける日本では、人手不足が慢性化しています。dodaの転職求人倍率は2倍を超える水準が続いており、特に20代〜30代は「辞めても次がある」環境。だから不満があれば我慢せずに動ける。一方で50代は選択肢が狭く、リストラの受け皿も限られる。

同じ「不満」でも、20代は「我慢する理由がないから辞める」、50代は「辞めたくないのに辞めさせられる」。この非対称性は、少子高齢化が生み出した構造的なものです。

2つ目は、「終身雇用の崩壊スピード」の世代差。

50代は新卒時に「定年まで働く」を前提に入社した世代。でも今、その前提が崩れている。東京商工会議所の調査で「定年まで」と答えた新入社員は21.1%まで下がりましたが、これは若い世代の話。50代は「約束が違う」という感覚を持っている人が多く、それが経営層への不信感(「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった」34.5%が1位)として表れています。

一方、20代は最初から「いつか辞める前提」で入社している。だから会社への不信感というより、「自分の時間を守れない環境は合わない」という個人の基準で判断する。

3つ目は、「テクノロジーの影響」の受け方の差。

AI・DXの波は全世代に影響していますが、受け止め方が違います。20代〜30代にとってデジタルツールは「当たり前のインフラ」で、それを活用できない職場への不満(労働時間が長い=効率化されていない)につながる。

40代〜50代にとっては「自分の仕事が奪われるかもしれない脅威」であり、会社の将来性への不安や、リスキリングへの焦りにつながっています。

つまり、同じ「転職したい」でも、

  • 20代:「もっと良い環境がある」(前向きな離脱)

  • 30代:「このままでは将来が不安」(戦略的な移動)

  • 40代:「この組織に自分の居場所がない」(環境への失望)

  • 50代:「辞めざるを得ない」(構造的な排出)

という、まったく異なるメカニズムが働いています。

この先、転職理由はどう変わっていくのか? 👀

ここからは今後の展望です。

20代の「時間重視」の傾向は今後さらに強まるでしょう。
初任給の上昇トレンドが続く限り、「お金」は相対的に満たされ、「時間」「評価の納得感」「成長実感」が転職の主な動機になっていく。
「個人の成果で評価されない」が18位から3位に急浮上したのは、この流れの先行指標です。

30代〜40代では、「共働き前提の働き方」がスタンダードになることで、男女問わずワークライフバランスへの不満が転職理由の上位に定着するはずです。
30代で「労働時間に不満」が前回8位→2位に急浮上したのは、その兆候。

50代は、黒字リストラの常態化とAI・DXの進展により、「会社都合の退職」が今後も増える可能性が高い
ただし、リスキリングやスキルの言語化ができている50代は、転職後も年収を維持できるというデータもあります。「準備している人」と「していない人」の差はますます開いていく。

全世代に共通して言えるのは、「自分のスキルと経験を、社外でも通用する形で言語化しておくこと」の重要性がこれまで以上に高まっているということ。

今の不満が「給与」であれ「時間」であれ「雰囲気」であれ、転職するにしても・しないにしても、「自分の市場価値を知っている状態」と「知らない状態」では取れる選択肢の幅がまるで違います。

転職理由は世代によって違う。
でも、「自分のキャリアを自分で設計する」という必要性は全世代共通です 💪


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出典: doda「転職理由ランキング【2025年版】」 URL: https://doda.jp/guide/reason/

パーソルキャリア「転職理由ランキング【2025年版】を発表」 URL: https://www.persol-career.co.jp/newsroom/news/research/2026/20260216_2097/

マイナビ「転職動向調査2026年版(2025年実績)」 URL: https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260323_108572/

リクルートエージェント「年代別転職理由の本音」 URL: https://www.r-agent.com/data/survey/reason/

東京商工リサーチ「2025年『早期・希望退職募集』調査」 URL: https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202373_1527.html


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